Kitchen LAB&BAR/キッチンが俺の研究所であり、バルである

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを、そして嫁に褒められるメシを作りたい〜

現代人は砂糖の違いが分からなくなっている、砂糖の味の均一化が残念

現代人は砂糖の味の違いが分からなくなってしまった?

現代では砂糖の使い方が変わってきている

砂糖の使用頻度が4、5年前に比べてかなり増えています。その理由としては、食材の風味の低下を甘味でカバーさせることができることが発見されたことと、その風味の低下をカバーせざる得なくなってしまうケースが増えてしまったからです。


砂糖で甘味を付ければ、肉、野菜などのクセのある臭いや、少々の生臭さを消すことができます。また、冷凍野菜や乾燥品を戻すときも、砂糖をわずかに加えることで、旨味が復活することも多いのです。

これは、甘味は食材の持つ独特な風味を消す力があるからです。といっても、その食材事態の風味がなくなってしまうのではありません。甘味の作用によって、人間の味覚がデリケートな味を感知できないよう、ごまかしている、といった方が自然です。


だから、素材の風味が好きな感じではないとき、甘味を付けるときはプラスに働きますが、素材の風味が良く、それが大変デリケートである場合は、砂糖などの甘味を使わない方が良い。食材そのものの素材を楽しむためには、砂糖よりもやはり塩なのでしょう。


質の良い食材が、割と楽に入手できた時代には、調理の際に砂糖を使うことが少なかったのですが、今の時代は大抵の食材を輸入品に頼ってしまっているので、その砂糖の役割は増えています。


さらに、昔の砂糖には種類によって風味に特徴がありました。だから、料理の用途により砂糖の使い分けをすることができたし、それが調理上の大切なテクニックになりえたのですが、現在の砂糖の味は均一化されつつあります。人間の舌では、汎用品の砂糖の味はほとんど違いを残念ながら感知することができません。


以前の砂糖は、例えば、上白糖とグラニュー糖では甘味の差がはっきりしていましたし、ザラメでも白や赤で、確実に風味に違いがありました。黒砂糖も風味が良かったし、氷砂糖も本当に結晶させて作ったものがほとんどでした。

黒砂糖はまだましだと思いますが、現在の砂糖は風味の違いがなくなってしまっており、特に甘味と香りには差がなくなってしまっています。


とはいっても、甘味そのものが持っている味の役割には変わりはありませんが、料理の出来上がりに、はっきりと甘味が感じられる程度に砂糖を使うことは1つのアクセントになります。

なぜ砂糖に差がなくなってしまったのでしょうか。

どうして砂糖の種類によって風味の差がなくなってしまったのでしょうか。その理由は砂糖の精製法が変化したためです。


以前の里井は、精製法も複数の選択肢があったり、また同じ精製法を用いたとしても、結晶化の回数によって風味に差が生まれていました。

つまり、砂糖の種類ごとに純度や成分がかなり異なっていたのです。悪い意味ではその品質にばらつきが生まれていましたが、良い意味では砂糖の風味もそれぞれ楽しめていたわけです。


ところが現在の精製法は、純粋に糖度を取り出す方法だけになっています。簡単に表現するなら、白くて純度の高い砂糖が一種類しか作れなくなっているのです。現在でも市販されている汎用品の砂糖の形状は氷砂糖、上白糖といろいろありますが、実はすべてグラニュー糖と同じものが作られていると考えて差し支えはありません。

砂糖の作り方はどう変わってしまったのか

一般的に砂糖と言われるものには、二つの原料があります。

一つはサトウキビで、サトウキビから造られるものを甘藷糖といいます。もう一つはビート(砂糖大根)から造られるビートシュガーです。ただし、ビートからは白砂糖しか作れないから、黒砂糖の原料とできるのはサトウキビだけになります。


サトウキビを原料にした砂糖の作り方を説明します。


昔の砂糖は、サトウキビンをローラーの間に通し、搾った汁を煮詰めて作っていました。現在の製糖工場では、以前とは全く異なった作り方をしています。


刈り取ったサトウキビはまずチップにされます。これをローラーで搾り汁を取ります。ここまでは昔の工程とさほど変わりません。


このあと、搾ったチップをさらに砕きバラバラの状態にし、それをシャワーで洗って、糖分を徹底的に溶かして出してしまいます。次に、水分を切るために遠心分離器で処理を行います。


当然出くるカスは、藁のくずのようなパサパサした繊維状のものだけになります。このような操作によると、以前の搾り汁に比べて、現在の搾り汁には、サトウキビのいろいろな成分が入っています。


そこで次に、これを濃縮して粗糖と呼ばれる砂糖の結晶を取るのですが、その際には遠心分離法にかけて完全に粗糖と糖蜜を分けてしまいます。粗糖はそのあと、製糖工場に移され、全部の質を一定にした白砂糖にされてしまいます。

こうして出来上がった砂糖に含まれる成分にほとんど純粋で、結晶の大きさが違っても、味にはあまり変化はありません。


現在でも砂糖の種類は様々なものが存在します。例えば、ザラメのように色が付いている砂糖がありますが、これはカラメルなどで色をつけ、赤砂糖のように着色されています。

だから、色付きのものを料理に使うと、かえってカラメルなどの風味が入ってきたりしかねないからあまり使わない方がよいかもしれません。

砂糖の精製法の変化が黒砂糖の風味を変えてしまった

黒砂糖は、他の砂糖に比べると、現在でも独特の風味を持っているといえます。


しかし、以前のもの比べるとかなりその風味が落ちてしまったように感じてなりません。味の点でも、苦味や渋味が強くなり、クセもかなり強く感じられます。これも、砂糖の作り方がかわってしまった悪影響が出ている結果です。



昔の黒砂糖は、サトウキビの搾り汁を煮詰めて作っていましたが、現在では出来上がった白砂糖に分離した糖蜜を混合して固めているからです。先に述べたように、現在の精製法では、サトウキビの成分をとことん絞り出した糖液を原料とするので、糖蜜にはどうしても苦味や渋味の成分が入ってしまいます。


こうして出来上がった黒砂糖には、以前にはなかったマイナスの味の成分が含まれてしまっています。このような黒砂糖を料理に加えて風味が良くなることは考えられません。



また、以前の黒砂糖は窯で煮詰めて作っていたから、いくらか焦げて、香ばしい香りもついていたはずです。現在では、低温で減圧濃縮しているから、香ばしい香りが付くこともなくなりました。


だから、現在の黒砂糖には、昔のような風味を期待することができなくなってしまっています。


しかし、以前の作り方をそのまま踏襲して作られているのもわずかではありますが存在します。沖縄の八重山群島の波照間島だとか、鹿児島県の奄美群島の喜界島で作られています。このような、以前の手法で作られた黒砂糖は、赤るく、薄いチョコレート色で、料理に加えると素晴らしく美味しい味を出せます。

砂糖の使い方の注意点

以上、記事に書いてきたように、砂糖を使い分けて、料理の風味に違いを出そうとしても、それが難しくなっているのが現状です。

砂糖の形態にこってみても、それほどの効果は期待できないし、色付きの砂糖を使えば、人工的なカラメルの香りなどがついて、かえってマイナスになってしまう面もあります。


砂糖を料理に使う場合、心を配る必要があるのは、どういうときに使うのか、そしてどれくらいの量を使えばよいのかという点だけになってしまいます。


これに対して、黒砂糖のように、生産量は限られていますが、昔ながらの製法のものを使えば、ほんのわずかだけ加えただけでも、料理の味に大きな変化を付け、深みのある味を付けることができるものもあります。

できれば試してみてはいかがでしょう。

オススメの砂糖

波照間黒砂糖ブロック 300g×6袋

波照間黒砂糖ブロック 300g×6袋