Kitchen LAB&BAR/キッチンが俺の研究所であり、バルである

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを、そして嫁に褒められるメシを作りたい〜

トマトの魅力、ケチャップの魅力

ケチャップさえかければ失敗は存在しない?

ケチャップのトマトの味が好まれるのはなぜか

トマトの加工品は、比較的良く家庭料理に使われる材料、あるいは調味料といってもいいですよね。トマトじたいは、食感が苦手という人もいるかもしれませんが、ケチャップなどの加工品ならOKという人も少なくはありません。トマトの味は万人受けする味の一つといっても過言ではありません。


だから、トマトを使った加工品としては缶詰やジュース、調味料としてはケチャップ、トマトピューレ、トマトペースト、チリソースなど様々。トマトの加工品は本当に種類が豊富にあります。

トマトの味が、多くの人に好まれる理由はいくつかありますが、日本の出汁成分に欠かせない昆布に多く含まれている“グルタミン酸”がトマトに多く含まれていることが最近の研究で分かったそうです。


グルタミン酸と言えば、昆布を想像する人が多いかもしれませんが、昆布以外にも、味噌、醤油にも豊富に含まれており、日本茶の旨味成分の主役もグルタミン酸です。だから、トマトは本来、外来品でしたが日本でもいち早く流通したのは、日本人が大好きな旨味成分を豊富に含んでいたからとも言えます。


だからそのトマトを濃縮させたケチャップやトマトピューレに至っては、測定値は持ち合わせていませんが、味噌や醤油と同じく、グルタミン酸が多く含まれていると思われます。

トマトのグルタミン酸は“味の相乗効果”を生む

日本では、出汁をとるときに、昆布と鰹節、あるいは干しシイタケを一緒に使って旨味成分を強めることは常識です。


昆布の旨味成分であるグルタミン酸に、鰹節の旨味成分“イノシンさん”や、干しシイタケから出る旨味成分のグアニル酸が少量加わることで、飛躍的に旨味成分が強化されることです。


トマトにはグルタミン酸が強いということが分かったのですから、これに対応するように、旨味成分を強調するものを組み合わせれば、料理の旨味成分を強く出すことができます。


では、どのようなものがトマトのグルタミン酸に対応して味を強調できるのでしょうか。


まず、イノシン酸を考えて見ましょう。日本料理では、鰹節を使えばよいですが、肉類も熟成してくるとイノシン酸の量はかなり多く含まれます。牛、豚、羊、馬など、多くの家畜肉はいずれも低温で熟成させ、味が出てから食用とします。これは、つまり、イノシン酸が増加して旨味が出てから食用にされるということです。


このことは、トマトと牛、豚などの家畜肉の熟成したものとを一緒に調理すれば、両者の旨味成分が相乗的に働いて、旨味を増すということ示しています。そのため、ビーフシチューやハヤシライスといった家庭料理はトマトと肉が味を強調させる組み合わせになっています。


魚類でも、背の青い系統のものはイノシン酸が多いので、同様のことが言えます。例えば、イワシやニシン、サバ、サンマなどの青魚の缶詰には意外とトマト味のものが多くあります。これはグルタミン酸とイノシン酸の旨味の相乗効果を狙った組み合わせの例と言えます。


肉や魚以外の食品で、トマトのグルタミン酸と合うものには、きのこ類が挙げられます。きのこ類はグアニル酸を含んだものがかなり多く含まれており、当然のことながらトマトの相性は非常に優秀です。きのこの入ったトマトソースのスパゲティは経験的に好まれた組み合わせなのでしょうが、科学的に見ても旨味成分を増強させる良い組み合わせだったのです。

生のトマトと加工品の違い

グルタミン酸が多く、日本人の嗜好に合いそうなトマトですが、面白いことに生のトマトが嫌いだという日本人はたくさんいます。生のトマトは特有の青臭い臭いと、その口当たりや食感が敬遠される理由だそうです。


第二世界大戦以前尾日本人では、生のトマトになじめない人がもっとも多くいたはずですが、その時代、トマトケチャップは既に日本の食卓に浸透していたという事実があります。代表的な料理がチキンライスです。


生のトマトになじめない人が多い一方で、トマトケチャップが広く親しまれていたのは興味深い話ではないでしょうか。


では、なぜ、トマトケチャップが受け入れられたのかというと、トマトを加工する過程で加熱や濃縮、他の味を添加したりすることにより、生のトマトの問題点が上手に取り除かれたことでしょう。


生のトマトにマイナス要素がなくなり、プラス要素のみを取り出すことに成功したのがケチャップだということです。トマトの中のグルタミン酸の威力が発揮することになり、「こんなにおいしいものは今までに食べたことがない」となったのでしょう。

トマトや昆布のように食品中に含まれているグルタミン酸は、化学的に製造した純粋なグルタミン酸ナトリウムと違って、他の材料と上手く組み合わせられて、旨味を強めていくことができます。こういった観点から考えると、トマトの加工品や調味料類はどんな組み合わせに合うのか考えていきたいですね。

ピザ味が日本人に好まれる理由

トマトを使った料理にはいろいろなものがありますが、“ピザ”もトマトの風味をふんだんに生かした料理で、しかも日本人に好まれる料理の一つです。ピザが日本でも受け入れられるようになって、かなりの年月が経とうとしていますが、外国から伝わった料理の中には一時的な人気は得ても日本人にはなじまず、消滅してしまうものも結構あります。その中でもピザは一定の確固たる地位を確立できています。


なぜ、ピザの人気が高いのかは使われている材料を見ると、よくわかります。まず、ソースですが、こちらはトマトをベースにしたものなので、当然グルタミン酸の味が含まれています。


さらに、意外と思われるかも知れませんが、チーズにもグルタミン酸が多く含まれていて、しかもチーズのグルタミン酸の含入量はトマトよりも20倍高いのです。チーズの原材料となる牛乳には遊離のグルタミン酸はあまり多くありませんが、チーズの発酵の過程で、牛乳のたんぱく質が分解によりグルタミン酸が作られます。


ピザは、トマトとチーズに多くのグルタミン酸という旨味がある上に、具としてはイノシン酸をたっぷりと含むサラミソーセージが加わります。こうなるというまでもなく、ピザの旨味成分は日本人好みであることがわかるでしょう。


ただ、ピザの場合、一つ問題があります。それは、チーズに対する日本人の反応です。若者世代であれば牛乳やチーズで育ってきているからチーズに対する抵抗が少ないのですが、年配の方になるとチーズの風味はいまだに馴染めない人がそこそこの人数が存在していることも確かです。これはチーズには、発酵熟成の過程で生じる独特の風味、臭みが原因です。


食べ物は科学的にみて、旨味成分がたくさん含まれているからといって、すべての人に好まれるわけではありません、料理を作る際にはこういった世代ごと、育ってきた環境も考慮して作る必要があります。旨味成分さえ含まれていればよいという訳にもいきません。

発育期に馴染んだ味かどうか

ここで、人間の食の習性について考えてみると、「発育期に馴染まなかった食べ物の風味に対しては、後になっても馴染みにくい:という原則があります。若い時代にチーズの風味に馴染む機会がなかった人がチーズの風味を苦手とすることは当たり前のことです。


また、年齢が高くなると、味覚の若返りというか、発育期に食べた味や風味に親しみを感じる傾向にあります。これはどうすることもできない人間の本能による習性です。


だから、たとえ科学的に見ても、どんなに魅力ある料理で、しかも多くの人が美味しいと評価しているからといって、それを好まない人がいることを知ることは、料理を作る側にとって大切な基本ですね。

ナガノトマト 長野県産ケチャップ 240g

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