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豆の魅力とこれからの重要性

豆は調理材料として大きな魅力がある

豆は調理材料として大きな魅力がある

現在、日本では、乾物の豆というと、調味料や加工品の原料として使われることが圧倒的に多いです。料理としては、郷土料理や家庭での惣菜料理の煮豆など、ごく限られた利用法の枠内に留まっています。


家庭においても、若い人の豆離れから、昔ながらの煮豆などが、あまり作られなくなっています。ましてや、飲食店のメニューに積極的に活用されることは少ないとも言えます。

その一方で、エスニック料理の流行から、今まで日本であまり使われていなかった外国の豆が、少しずつではありますが馴染みのものになってきています。例えば、レンズ豆とか、ヒヨコ豆などがそれです。いずれも、歴史的には非常に古い豆であり、大切な食材として世界各地で長い間馴染まれてきたものです。


また、欧米を例にとっても、豆は料理の主要な食材として、サラダやスープ、ソースなどに幅広く使われています。


豆の魅力の一つとして、保存性があり、書かうが安定している点が挙げられます。生の野菜では、価格の変動が激しく、保存性もあまり良いとは言えません。さらに時間の経過とともに、繊維が硬くなり、歯切れもしなしと感じが悪くなりやすい。


だから、ヨーロッパ北部のように冬の長い地域や、野菜の生産地が限られている国では、保存性の高い豆類や缶詰の野菜などを利用する調理法が発達したのは当然のことと言えるでしょう。


最近は、外国の豆も入手しやすくなっているし、種類が多くなっています。豆は、上手く利用すれば、料理の素材として非常に魅力的なので、積極的に利用したいところです。

日本での豆の利用法

日本では、豆は限定された範囲でしか利用されてこなかったが、これには二つの理由が考えられます。


一つは、日本で主に使われてきた豆は、大豆、小豆が主で、それにインゲン豆が加わる程度です。そして、それらの豆の利用法が、調味料や加工品などに限定されていたことが挙げられます。


例えば、大豆は、煮豆など料理にもしますが、豆腐、納豆、味噌、醤油などの加工品や調味料として利用が圧倒的に多いのです。これは、大豆が硬くて消化のあまりよくない食材であるため、下降して豆腐にすることで消化をしやすくしたという知恵があるのですが、欧米のように豆自体を煮て、サラダなどに使用する例はやはり少ないのです。

小豆やインゲン豆も、煮豆や小豆粥などに調理されますが、最も多いのは餡子の材料として菓子に使われることでしょう。


まして、豆のスープやソース類への利用となりますが、小豆の汁粉、大豆の投入の利用などごく限られたものです。欧米のように、広くスープやソースの材料に豆を使用することはありません。


もう一つの要因としては、日本には、野菜としての生の状態で使われる豆類が豊富なことが挙げられます。エンドウマメ、ソラマメ、サヤインゲンなど豆というよりも、グリーンの野菜です。また、昔から日本では、豆以外にも、新鮮な野菜が手に入りやすかったので、欧米のように乾燥豆を積極的に料理に取り入れる必要性があります。

欧米での豆の使い方

欧米では豆をサラダや、ソース、スープ、ゼリー寄せ、煮込みというあらゆる料理に使います。ヒヨコ豆、レンズ豆、グリーンピース、ソラマメ、インゲン豆などはいずれも、そのでんぷん質が味覚に与える感触が良いし、またそれぞれに特徴のある良い味、つまり旨味成分を持っています。だから、料理に使ったときに、味を出すことができるのです。


しかし、豆の持っている味はあまり強いものではありません。そこで、ソースやスープに使用するときには、豆特有の味を生かし、他の調味料などの強い味で豆の味を消してしまわないように気を付ける必要があります。

豆をスープやソースに利用するときのコツ

豆がいくらか旨味成分を持っているからといって、それだけではやはり味に不足があります。豆の旨味成分はグルタミン酸の味であるから、これにイノシン酸系の旨味を加えると、味の相乗作用によって、美味しさが倍加されるのです。


イノシン酸系の旨味成分でいうと、日本ではカツオ節が代表格ですが、生の魚肉、畜肉にも含まれています。したがって、豆をスープやソースにする際に、ブイヨンなどのスープストックを使用すると、より美味しさを増すことになります。


また、豆の調理の一つのポイントなるのが、豆の潰し方に挙げられます。スープもソースも、豆の舌触りが加わるわけですから、潰し方の加減次第で味わいが変化します。そのため、潰し方にも計算が必要となります。

例えば、レンズ豆のソースを作る場合は、半つぶし程度の方が味わいは良くなります。スープにするときは、裏漉しするとか、フードプロセッサーで細かい粒子にするなどして、かなり細かくつぶした方が舌触りは良くなります。


ただし、ヒヨコ豆の場合、カレーソースにするときは、丸ごとの形の方が口当たりを楽しめるし、味も潰すよりは風味が出ます。

グリーンピース、ソラマメなどは裏漉しした方が舌触りは良いようです。豆ごとに、特性を生かすように調理の手法をいろいろ工夫することが必要になってきます。


さらに、豆を料理に利用するときに共通して注意すべき点が一つあります。豆には、一種独特な青臭い臭いがあるということです。この臭いは、しっかり茹でることで消えてしまうので、よく火を通すことが大切です。火通りの良くない状態では、青臭みが残って、せっかくの豆の旨味成分が楽しめなくなります。

豆は丸ごとさらに利用することが望ましい

サラダに豆を使うときは、茹でて、丸ごと使うのが良いでしょう。茹でただけの状態で、他の野菜類とともにボールに盛り、ドレッシングをかければ、口当たりも良く、ドレッシングの味も良くなじむからです。それに、サラダバーの形式だと、丸ごとの豆は華やかな彩りを見せてくれます。


特に、インゲン豆は、模様がいろいろあり、これも華やかさをプラスします。レンズ豆もヒヨコ豆も、特有の色があるし、グリーンピースは、鮮やかな緑で目を楽しませてくれ、食欲を促す効果があります。


また、サラダの場合、他の野菜類もあまり強くない味ではないので、豆も茹でるだけの方が、野菜の味の邪魔をしないで良くなじみ、美味しくなるようです。欧米のサラダでは、茹でた豆と一緒に、ビーツ、ヤングコーン、アスパラガス、カリフラワーなどの茹でた野菜が良く使われますが、これもそうした知恵と言えるでしょう。




豆は今後ますます重要性が高くなる

豆は、味が良いだけでなく、その経済性にも大きな魅力があります。
初めにも少し触れたように、豆には依存性が高いという利点があります。生の野菜は価格の変動が激しく、また、現在のように、大都市に人口が集中する形態になると、当然ですが、新鮮な野菜の輸送には時間がかかり、鮮度や味の面でも問題が出てきます。経済的に安定した豆には、野菜の代替品としての価値も出てきます。


また、現在では、エスニック料理の流行や、欧米の幅広い国の料理の中で豆の料理が紹介され、ヘルシー志向から、従来からの日本での豆の利用法も見直されています。


以上のことから、豆は今後ますます料理の素材として重要性が増してくると思われます。大豆、小豆といった従来の日本の豆に加えて、外国のいろいろな種類の豆が入手しやすくなっている今、豆を上手に使いこなしていくことが必要ではないでしょうか。