Kitchen LAB&BAR/キッチンが俺の研究所であり、バルである

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを、そして嫁に褒められるメシを作りたい〜

ワインの酸とタンニンで料理を美味しく仕上げる

生の肉に赤ワインを振りかけておくと、肉の表面が酸で固まり、旨味の多く含まれている肉汁が調理中に逃げない

赤ワインの特徴は“酸”と“タンニン”

酒類の中で、幅広く料理に使用されるのがワインです。ワインには、赤と白、それにロゼがありますが、料理に使われるのは主として赤ワインと白ワインです。ロゼは甘味が強いこともあり、料理に使われることは少ないです。


赤ワインの特徴は、酸味が強く、酸味が強く、さらに渋味があることであります。酸味は酸類によるものであり、渋味は“タンニン”の味になります。これらの成分が料理の材料に影響を与えるのです。また、赤ワインは、名の通り赤い色が付いていますが、これはアントシアンという色素によるもので、かなり着色力が強い。

まず、赤ワインの酸について述べると、これは、原料のブドウから出たものです。ブドウの酸は皮と種の近くに多く含まれていますが、赤ワインを造るときには、皮と種をそのまま使うため、自然と酸が多く含まれています。


ロゼのように、赤ワインの発酵中で果汁を搾れば、酸味が強くなく、穏やかな味のワインができますが、これは、酸の多い部分が除去されてしまうからです。


次に、酸の働きですが、肉料理のソースに赤ワインを使うと、酸味が加わるため、食べたときに脂肪のくどさを感じないという効果があります。赤ワインを使ったソースで肉を煮込んでも同様の効果があります。


また、生の肉に赤ワインを振りかけておくと、肉の表面が酸で固まり、旨味の多く含まれている肉汁が調理中に逃げないから、旨味成分が濃厚な肉料理に仕上がります。肉はタンパク質できていますが、タンパク質は酸に合うと凝固する性質があります。


そのため、肉に赤ワインを振りかけてしばらく置くと、肉の表面のタンパク質が固まり、内部の肉汁が逃げなくなります。これは、肉を煮るときに赤ワインを加えても同様です。肉を煮る場合には、温度が高いので、タンパク質が強く固まり、肉はよくしまります。


しかし、ワインには、アルコールが13%程度含まれているから、アルコールの作用で、肉はあまり固く締まり過ぎません。ワイン程度のアルコール濃度の場合には、肉のタンパク質はいくらか柔らかくなる性質があるので、酸が強くしまっても、それを柔らげてくれるからです。


なお、ワインの酸は酒石酸やクエン酸が主で、これらの酸は、酸造酢のである酢酸のように蒸発しないから、煮ても酸が残り、煮ている間中、肉に作用するのです。


次に、渋味成分のタンニンですが、これもタンパク質を固まらせる作用があります。タンニンは酸よりも作用が強く、その点で、タンパク質も変化します。赤ワインで煮た肉は、タンニンと酸がともに働くので、保存性が一層に高くなります。


例えば、ロースハム丸ごとの1本を赤ワインで煮るとします。しかも、煮詰まるまで加熱すると、一週間くらいは冷蔵庫でもつから、少しずつ切って提供することもできます。


酸性だと細菌が繁殖しにくいし、タンニンで肉が締まっている上、十分に加熱してあるから保存性が出るのです。


なお、酸性で加熱すると、ほとんどの細菌は短時間で死滅するから、肉類を赤ワインで煮るということは、料理に安全性を持たせることにつながり好都合です。


それから、赤ワインの色素ですが、タンパク質を強く染めるので、材料に赤い色が付きやすいのです。赤みの肉は良いですが、白身の魚や肉が赤紫に染まったのでは、料理としての価値が低下するから、白い色を活かしたいときには赤ワインを使わない方がいいでしょう。

白ワインの特徴は穏やかな酸と糖分

白ワインは酸を含んでいますが、赤ワイン程は強くはありません。なぜかというと、白ワインは、ブドウを搾り、汁だけを発酵させて造るからです。つまり、皮と種の近くの部分は除いてあるからです。


しかも、赤ワイン程強く発酵させていないから、赤ワインに比べて、糖分がいくらか残っています。それだけにほのかな甘味があります。

白ワインはこの穏やかな酸と糖分によって料理に影響と与えますから、その性質を利用して使う必要があります。


まず、酸ですが、これは、赤ワインでも説明したように、タンパク質に作用して、それを固める性質があります。しかし、糖分を含んでおり、糖分委はタンパク質を柔らかくする作用があります。したがって、白ワインはタンパク質でできている肉や魚を硬く締めることはありません。


さらに、白ワインは、赤ワインと違って、色が着かないから、鶏肉や白身の魚を処理するのに適しています。しかも、適度にタンパク質を硬め、糖分が保水作用を持つので、しっとりとした感じが料理になります。

この場合、身の中にまで白ワインが浸透している方が良いので、白ワインを振りかけた後、しばらく放置することが必要です。また、白ワインの中にもアルコールが赤ワインと同程度含まれているから、これも、身を柔らかく仕上げる効果があります。


白ワインの酸は、赤ワインのように多くはないし、タンニンも含まないので、白ワインで処理し加熱した肉類は保存性がよくありません。この点は赤ワインと白ワインの差になります。

ワインの香りはブドウの品種の差が出る

ワインには、それぞれ独特の香りがありますが、それはブドウの品種の差に大きな違いがあります。赤ワインを造る材料に用いられるのは、濃い赤紫色のブドウです。中にはピノノアールと呼ばれる黒に近いブドウもあります。これは、フランスのブルゴーニュ地方で採れるもので、他の地域ではこの品種はあまり見られません。


その他、赤ワインに使われるブドウとしては、カベルネソーヴィニヨンやマスカットベリーAといったものなど、他にも種類が多く、それぞれ個性のある香りを持っています。香りは、料理の風味にも影響を与えますから、赤ワインを利用するときには注意が必要です。


白ワインも赤ワインと同様にワインごとに独特の風味を持ったものが多くあります。日本で比較的多く出回っているのはリースリングという品種のブドウを使ったもので、ドイツのワインは、多くがこの品種のものです。

白ワインは赤ワインよりも香りのおとなしいものが多く、その点Dねは赤ワインのように、料理に大きく影響をするものではありません。

どのような香りであれ、ワインに共通しているのは、生臭みを消す力とあるということです。これはブドウの香り成分による作用もありますが、さらに効いているのは、ワインを醸造しているときに醸し出される成分によるもので、これが生のブドウとの違いです。




ワインと清酒の差

ワインも清酒も、料理に良く用いられていますが、それよりもまず、食事酒として出される頻度の高いものです。ところが、ワインと清酒とでは、料理に対して大きな差があります。


まず、清酒ですが、肴という言葉があるように、酒の菜、つまり酒の添え物が必要です。清酒は料理を選ぶということですが、相性の良い料理と、そうでない料理があります。


反対に、料理を選ばないのがワインです。料理と供にワインを飲んでもらえば、どの料理でもかなり味が良いと判断される傾向があります。ワインには料理を美味しくする働きあるそうです。


ところで、ワインでも清酒でも、少し塩味の聞いている料理の方がよく合いますが、清酒をマスで飲むとき、マスの縁に食塩を少し乗せて、それを舐めながら清酒を味わうことがあります。この場合、食塩が肴になっています。


ワインの場合も、バケットなどの塩味のパンにバターを付けて食べながら飲むと、より美味しくなるのも似たようなケースです。

そこで、ワインが食卓に出される場合の料理の味付けは、単に食塩の料理を多くするのではなく、食卓で塩を振るなどして、塩味がある程度はっきりと分かるような味付けにすると良い結果が得られるようで、料理もワインもともに引き立つようです。


特に、赤ワインの場合は、酸味が強いから、この関係はさらにはっきりします。口の中で、ワインの酸味が料理の塩味と溶け合って、丸みのある味になるからです。

ワイン好きの料理ノート

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