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洋食の王様、極上ハンバーグを作る!ポイントは焼き方と、麩と豆乳を使った”つなぎ”

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photo by beve4

ハンバーグは洋食の王様、できるだけ失敗は避けたい

ハンバーグは洋食の王様だと、幼い頃から思っていました。

ハンバーグを作る時、やってしまいがちな失敗はどんな失敗ですか。私が料理をやり始めた頃よくやってしまっていたのが、表面は焦げ目が良い感じについてるなと思ってフライパンからお皿に移して、いざ食べようとしたらハンバーグを割ってみると、まだ生焼けの赤い状態だったという失敗。(料理にこだわるようになる前は、本当に何回もやってしまっていました。。。)

この失敗をしてしまったときは、生焼けのハンバーグをトマトソースやシチューと一緒に煮るといったことをしなければなりません。

ハンバーグを美味しく焼き上げるには

ハンバーグを焼く原理はフライパンからの伝導熱による加熱です。金属のフライパンは熱伝導が良いのでフライパンに接している面は高温で熱されますが、肉のタンパク質と油を主材料とするハンバーグは熱伝導率が悪く、一方向からの加熱では中心部まではなかなか熱が伝わりにくいのです。

このように、料理中の食材の中で温度差が生じてしまうのが「焼き料理」の難点です。ステーキならこの温度差を利用して、表面は香ばしく内部はレアのままで美味しいのですが、ミンチ肉を焼くハンバーグではそれでは食べられたものではありません。


ハンバーグを作るときは、平らな楕円形にまとめると思いますが、このとき、上になった側の真ん中を薄く凹ませておくと、失敗する確率が下がります。火の通りがもっとも悪い中心部を初めから薄くしておき、均等に火が通るように工夫しなければならないのです。


凹ませた側を上にして焼くとフライパンに接して火の通った反対側の肉が縮んで引っ張るため、ちょうどそっくり返るような形で真ん中が盛り上がってきます。これが、ハンバーグをひっくり返す時間の目安になります。


また、ハンバーグを凹ませておかないと、楕円形の膨らんでいるところが、さら引っ張られて膨らむことになってしまいます。最初に焼いた面はフライパンで平面になり、反対の面では膨らんでしまい、不格好なだけでなく、ひび割れの原因になります。


ハンバーグのように形の大きいものを焼くときは、全体の熱の通り方が均一ではないことを考慮して調理する必要があります。例えば、ウインナーを焼くときは斜めに切れ目を入れて焼かれることがありますよね、あれも加熱すると肉が縮むことを利用し、切れ目を開かせることで、中心部にも火を通りやすくする効果を狙っているのです。

初心者でも失敗しないように、オーブンを使ってハンバーグを調理する

絶対にハンバーグ作りに失敗できないという人は、ハンバーグをトマトソースやホワイトソースなどのお好みのソースで煮込んでしまえば、焦げる心配もなく中まで火を通すことができます。私が生焼けの失敗をしてしまった時は必ずトマトソース煮込みになりました。


いや、それでもあくまでスタンダードな焼きハンバーグを作りたいという人にもいい方法があります。ちょっと手まではあるのですが、予めフライパンで両面を焦げ目がつくまで焼いておいた後、上面をアルミホイルで巻いてオーブントースターに入れて1、2分ぐらい熱を加える、こうすればまず生焼けの心配はないでしょう。

ハンバーグを美味しくするつなぎの役割

ハンバーグを美味しく作るには、「つなぎ」も重要な要素になります。

なぜなら、我々が普段から食卓に並べる肉は動物の筋肉です。解剖学的に見れば、筋肉は細い筋繊維の集合体です。(理科室の人体模型の筋肉バージョンをみれば一目瞭然。料理の話をするときに、人体模型の話をするのはいかがなものかと思いますが・・・)


筋繊維は、筋肉の伸縮を司る繊維状のタンパク質が薄い膜に包まれ、その隙間に球場の色素タンパク質がぎゅうぎゅうに詰まったもので、これが束になることで筋肉をつくり、結合繊維と呼ばれる膜で包まれています。


ステーキやトンカツによく使われる牛や豚のロース肉は、焼いたり揚げたりする前に脂肪と筋肉の間にある筋に切れ目を入れておきます。結合繊維の成分であるコラーゲンは、水が含まれない状態で加熱すると急激に縮むため、筋を切っておかないと肉が反ってできあがり、硬くなってしまうからです。


肉のタンパク質そのものも、加熱すると縮んでかたくなります。特にもも肉のような部位は筋繊維が並んでいる部分は、単に焼いただけでは硬くなり、パサついた食感になります。そこで焼く前に肉叩きで多々踶細胞同士の結びつきを弱めておいから焼きに入ります。


一方、なぜ霜降り肉が美味しいのかというと、細かい脂肪が筋肉組織の中に均等に入り込んでいるので、焼いても硬くならないのです。


加熱すると縮むという肉の弱点を克服したのがハンバーグなのです。ハンバーグは、肉を柔らかくするためにミンチにしてから形を整えます。ハンバーグは挽肉だけを使うのではなく、玉ねぎやパン粉などのつなぎを入れます。細かく分断された挽肉も加熱によって多少縮むからです。


肉のタンパク質細胞は、60℃以上になると硬く縮みながら肉汁を外に出します。ステーキなら高温で肉の表面を固めて肉汁の流出を防ぐことができますが、ハンバーグの場合、つなぎであるパン粉に肉汁や脂肪を吸い取らせる必要があります。


また、つなぎにはハンバーグを柔らかくする役割もあります。混ぜる前にパン粉を牛乳に浸すこともありますが、それは牛乳により肉の臭みを消すことを目的にしています。


また、つなぎとして卵を少量入れて肉と玉ねぎを本当に繋ぐ役割を担います。玉ねぎは肉の臭みと甘味をハンバーグにもたらしますが、肉が焼きしまって硬くなることも防いでいるのです。



パン粉と牛乳の代わりに麩と豆乳を使った極上ハンバーグ

そして、さらにヘルシーに肉汁を多く含んだハンバーグを作りたいと思うのなら、パン粉と牛乳の代わりに麩と豆乳を使うと、個人的には“極上のハンバーグ”ができると信じています。


まず、麩はパン粉よりも細かい網目構造をしていることから、パン粉の1.5倍の保水力があります。つなぎとして、パン粉よりも麩の方が肉汁をより多くハンバーグの中に閉じ込めることができます。


また、パン粉の場合、多めに入れてしまうとパン自身の香りがハンバーグの中に少し混ざってしまいます。その香りが風味を損ねてしまいますが、麩にはそんなクセのある香りはもっていません。多めに入れても香りに影響を与えません。


そして、麩は細かくつぶして豆乳に漬けてから挽肉と混ぜます。


なぜ、牛乳ではなく豆乳かというと、豆乳に含まれるレシチンという成分があります。このレシチンンが肉汁と脂肪分が流れ出すのを抑えてくれます。豆腐ハンバーグを使ってヘルシーかつ肉汁がしっかり出るのはこのレシチンのおかげなのです。豆乳にもレシチンが多く含まれているので、豆腐ハンバーグと同じ効果があります。


つまり、肉の量は減らしたくない、肉の重厚感を味わいたいと思う人は、麩を豆乳に浸すことで、麩の網目構造とレシチンの相乗効果で肉汁の流出をがっちり防ぐことができるのです。

豆乳なら植物性タンパク質、ビタミンE、カルシウムなども取れるので栄養素も牛乳と比較して挽肉に足りていない栄養素を補完できる組み合わせになります。

挽肉は牛と豚の合い挽きを使う

ハンバーグに使う挽肉は適度に脂肪分を含んでいた方が美味しいです。脂肪と肉を一緒に加熱すると、脂肪の方が温度の上昇が緩やかなので、肉の温度が上がり過ぎて硬くなるのをある程度抑えてくれます。また適度な脂肪は肉の表面を覆って、滑らかさやしっとり感を出し、加熱によって生まれる香りをさらに複雑にし、いっそうの美味しさを感じさせる効果があります。

ハンバーグにはよく牛と豚の合い挽きの肉を使います。これは牛の脂肪は冷えると固まりやすいのに対し、豚の脂肪は融点が低く、口の中でサラッと溶けるので、お弁当のおかずにしても、冷めてからでも美味しく食べられます。

男のハンバーグ道 (日経プレミアシリーズ)

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