Kitchen LAB&BAR/キッチンが俺の研究所であり、バルである

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを、そして嫁に褒められるメシを作りたい〜

スパイスを使ってお正月の餅を長持ちさせる!?スパイスの殺菌効果はすごい

http://www.flickr.com/photos/64861425@N00/418390826
photo by Furumaru

スパイスの抗菌性を利用してカビを撃退

ある種のスパイスの製油成分には、カビや酵母、細菌などに対して有効な成分のあることが知られえいます。シナモン、ナツメグ、クロープ、タイム、オニオン、コリアンダー、ガーリック、オールスパイス、ジンジャー、セージなどに強い殺菌作用のあることが分かっています。セイボリー、ベイリーブス、ディル、タラゴン、マジョラム、バジル、キャラウェイ、メース、サンショウなどにも殺菌効果がありそうです。

調味素材にこれらのスパイスの製油成分をまぶしたり、浸したりすれば鮮度保持に効果があるので、この原理を応用してマリネにスパイスを使ったりしているのです。

ただ、このようにスパイスを直接、素材にまぶしたりする方法では、どうしてもスパイスの香味がついてしまいます。スパイスの芳香が好きな方はそれでいいのですが、スパイスの香味を出さずに保存性を高める方法もあります。ワサビやカラシなど、抗菌・殺菌作用をもった揮発性のスパイスを食品のそばに置く、というものです。


たとえば、お正月のお餅をカビさせてしまった経験は、結構あるはずです。こんなとき、ワサビやカラシなどを溶いて使うと、カビ予防に効果があります。あらかじめ溶いておいたカラシなどのスパイスをお猪口(おちょこ)などに入れ、お餅とともに密閉容器で保存します。長く保存したいときは、ときどき小皿のスパイスをかき混ぜるか、一週間に一度ぐらいスパイスを取り替えれば、効果が長持ちします。

漬物もスパイスで長持ちする

殺菌・抗菌作用を持つスパイスと、保存効果のある食酢を併用するのもいい方法です。


食酢は昔から、殺菌の増殖を防ぐ静菌作用があることが知られています。たとえば、酸度4.2%の食酢を10倍に薄めた液の中では、一部の菌を除いて四日間、制菌作用が続きます。


この効果を生鮮の味を使って確かめられた実験があります。アジを二つのグループに分け、一方は水洗いのみ、もう一方は食酢100ml・食塩5gの液に10秒間浸します。これを温度5℃の冷蔵庫で保存して鮮度を比べると、水洗いだけのものは3日で生菌数が危険ラインを超えたのが、酢洗いしたほうは7日間も鮮度を保ったというものです。


ごはんを炊くときや、パンの生地にちょっと食酢を入れると、夏の高温でも傷みにくいことも実験で確認されています。ちなみに米5合に対し、酢20mlぐらいにすれば、酸味を感じないで日もちもよくなります。


このように食酢も、それ単独で制菌作用を持ちますが、これを併用し適当に組み合わせることによって、さらに効果を高めることができるのです。


欧米ではビネガーにハーブやスパイスを漬けて香味を楽しんでいますが、これは一つの保存食だったわけです。ピクルスにさまざまなスパイスを加えるのも理にかなっていますし、日本でもちほうによっては糠漬けにサンショウの青い実を大量に加えて、糠床の保存性を高めています。

スパイスと酢の併用がどのくらい効果的か、愛知県食品工業試験所が行った「常温で漬物の保存性を高めるための研究」があります。温度25℃で漬け汁の日持ち期間を比較した結果、次のような違いが認められました。

・スパイスのなしのときの保存日数・・・三日間
・ナツメグの有効成分を併用した場合・・・六日間
・ブラックペッパーをの有効成分を併用した場合・・・九日間
・サンショウを有効成分を併用した場合・・・九日間

このテクニックは、いろいろと応用できます。たとえば、ピクルスを漬け込む要領で日本の漬物、らっきょうなどの酢漬けに好みのスパイスを併用すればよいでしょう。

ただし、注意していただきたいのは、食酢やスパイスもすべてのカビや生菌に対して万脳というわけではないので、過信は禁物ということ。たとえ顕著な効果が認められても、その保存性効果は永続的なものではないことを理解してください。

虫を寄せ付けないスパイスもある

スパイスの成分で殺菌効果と同様に興味をひくのが、殺菌成分や忌避物質です。
コアラの餌としえ知られるユーカリ葉には、蚊を寄せ付けなくする忌避物質があります。


このユーカリ精油成分は、他にも面白い作用を持っています。植物の中には、自分が繁茂するために、ほかの植物の発芽や成長を阻害します。“他感作用物質”を放出するものがありますが、ユーカリの精油中にこの成分があることを北海道東海大の西村教授が発見しています。また、精油は耐寒性強くする部室であると言われています。


含硫アミノ酸の一種であるアリルイソチオシアネートを含むカラシ油は、一般的にたいていの動物に対して摂食忌避物質として作用します。カラシやワサビなどのアブラナ科の植物では、このカラシ油が昆虫に対して防御物質としての役割を果たしています。


またユリ科のネギ属の仲間も、同様の含硫アミノ酸を持っており、葉などを傷つけられると酵素が働いて辛味成分が生成されます。この成分が病原菌の感染を防いでいるのです。


このほかにも、スパイス特有の芳香を害虫が嫌うことがあり、欧米では作物畑にスパイスを一緒に植えて、虫除けにしています。その真偽の程よく分かりませんが、欧米でよく知られている組み合わせを紹介していきましょう。


・ミント、セージ、タイムなどは、キャベツやブロッコリーなどアブラナ科につく蛾を忌避させる。
・ワサビはキャベツと同じアブラナ科の植物だが、そばに植えておくとキャベツにウジが付かない。
・オニオンやガーリックは、カブトムシ、アブラムシ、ニンジンバエなどに対して忌避物質となる。レタスやソラマメと一緒に植えるとよい。
・アニスとコリアンダーの芳香成分は、アブラムシの忌避物質となる。