Kitchen LAB&BAR/キッチンが俺の研究所であり、バルである

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辛味スパイスを使って、減塩、減塩!

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photo by scumdogsteev

スパイスを使って減塩料理に使える

甘い香りのスパイスを使えば砂糖の使用量を減らすことができる、と前にも書いたことがありますが、辛いスパイスを使って、塩の量を減らすことができます。


味覚の基本味は舌で感じられる化学的な反応で、先に述べたように甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5味が知られています。この中にはスパイスの一番の特徴である「辛味」が含まれていません。辛味は舌で感じる化学的な味ではなく、刺激として感じる物理的な味なのです。


塩を舐めると塩味を感じますが、この塩を皮膚の傷口につけてもさほど刺激を感じません。しかし、唐辛子を皮膚の傷口に漬けると、猛烈な刺激を感じます。これは唐辛子の辛味成分であるカプサイシンによるもので、辛味スパイスのうちでも一番刺激感が強いものです。これに対し、ペパーの辛味成分であるピペリンやジンジャーのジンゲロンは、比較的穏やかな辛味感、刺激感を持っています。

このように辛味をもつスパイスはその強さに違いはあっても、どれも刺激を与えます。しかも、それは塩が与える刺激感の数倍になります。スパイスを塩の代わりに使う考え方は、スパイスが持っているこの刺激感を活用するところにあります。

スパイスの減塩効果は大学でも研究されている

最近の研究では、辛味成分を上手に利用すると減塩効果が期待できることが証明されています。東北大学の木村研究室のラットを使った研究では、カプサイシンを含む食餌を与えられたラットは、カプサイシンを含まない与えられたラットに比べて、食塩の摂取量が少ないことを確認しています。


また、別の電気生理学的実験でも、食塩の水溶液に対する応答値カプサイシンの添加によって一定の範囲では大きくなること・・・わかりやすく言えば、同じ濃度の食塩水でもカプサインを含んだ方が塩分を強く感じる、という結果が出ています。


これらはスパイスの成分を使って、食塩の使用量を直接減らす考え方ですが、スパイスを塩の代替え調味料として利用する場合は、塩そのものを代替えするというのではなく、塩がなくてもスパイスの刺激感で十分に美味しく食べられる、という考え方で工夫するとよいでしょう。塩がもつ塩辛さ感自体はスパイスでは出ませんが、何種類かのスパイスを混ぜ合わせると、塩に似た刺激感を出すことができるのです。


海藻サラダを調理するときは、塩を加えずにジンジャーのおろし汁や芳香性の弱いホワイトペパーなどを加えると、結構おいしく食べられます。


スパイスを使った減塩効果は、ピクルスでも簡単に確認できます。比較のために、酢・食塩・砂糖だけを使ったピクルス液と、これにスパイスを配合したものとを作って、食塩の量を比べてみましょう。


キュウリ6本に対し、食酢1.5カップ、砂糖80g、食塩大さじ1の割合で作った溶液を標準のピクルス液とします。これに対し、ジンジャー、レッドペパー、ブラックペパー、ベイリーブス、カルダモン、シナモンなどのスパイスを適当に加えると、食塩の使用量を1/2~1/4まで減らせるはずです。