Kitchen LAB&BAR/キッチンが俺の研究所であり、バルである

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スパイスのおひたしに挑戦してみる

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photo by jennikokodesu

スパイスのアク抜き、おひたしで食べてみる

スパイスやハーブをアク抜きにして、おひたしとして楽しむのもオツなものです。


一般に食品の「アク」とは、アクで処理してアク抜きできるものをさします。このアクの成分にはいろいろありますが、苦味を呈するものとしてアルカロイドと配糖体、あるいは有機・向きの塩類などが知られています。


とくに野菜の場合は、無機質の含有量が1.5%以上になると渋味が強く感じられます。さらに無機質中にカリウムが多く含まれている場合は、不快味が強く感じられます。


タケノコ、サトイモ、ホウレンソウ、ワラビ、ゼンマイ、フキなどにはアクが多く含まれているため、昔からアク抜きの技術がいろいろと工夫されてきました。よく使われたのは木灰ですが、最近はこれが手に入りにくいため、重曹を加えて茹でる方法もよく用いられています。最近の研究では、この長年の習慣で得られた技術が効果的であったことが、科学的にも確認されています。

木灰や重曹を加えると、茹でる水はアルカリ性になるので、材料の繊維が柔らかくなります。その結果、組織が軟化してアクの成分が溶けだしやすくなり、また重曹に含まれるナトリウムが材料のカリウムと置き換わるために、不快味が和らげられる効果も得られるのです。また、これもアルカリの作用によって色素成分であるクロロフィルが緑色のクロロフィリンに変化するため、きれいな色調がそのまま保てます。

発癌性物質をアク抜きで壊す

アク抜きの効果は、それだけではありません。ワラビは若葉が開く前のものを摘み取り、アク抜きをしてから煮付や酢のものなどにしますが、アク抜き処理によってワラビに含まれる発癌性の成分を取り除く効果のあることも分かりました。


ワラビに含まれている発癌性物質はプタキロサイドと呼ばれますが、この物質は化学構造が非常に不安定で、これが体内で安定な物質になろうとするとき、遺伝子などを巻き込むことで発癌作用につながるとされています。


しかし、アルカリを加えてアク抜きをすると、プタキロサイドの不安定な構造がくずれて安定な構造になってしまい、発癌性が低下するらしいのです。名古屋大学の山田研究室でネズミにワラビを食べさせて調べた結果、アルカリ性の木灰でアク抜きした場合の発癌率はそのまま食べさせた場合の1/3に、また重曹を使うと1/8に、それぞれ下がったということです。


このようにアク抜きの技術は、そのままではアクが強すぎて食べにくい野草や山菜を、おいしく、健康的に食べるための素晴らしい知恵だったわけです。これは、フレッシュなハーブにも十分に応用できます。ホウレンソウなどと同じようにアク抜きして、ますはおひたしで楽しんでみましょう。


生のホウレンソウをそのままジュースにしても、青臭くてとても飲めたものではありませんが、茹でておひたしにすると美味しく食べられます。ハーブのおひたしも、同じように簡単にでき、食べられるのです。まず、セロリーのおひたしあたりから始めてみるとよいでしょう。