ムニエルの秘訣は片栗粉に旨味を閉じ込める
ムニエルは正式には、ア・ラ・ムニエルといい、フランス語で「粉屋のおかみさん」という意味です。魚に小麦粉をまぶし、バターで焼いた料理などのだが、粉まみれの魚を粉屋の女房に例えたところがフランス人の洒落。
ムニエルの作り方はいたって簡単。生の魚の塩コショウを振り、十分ほど置いてなじませます。そして振るった小麦粉を薄くまんべんなくまぶし、余分な粉をはたいてからバターで両面を焼ければできあがり。
火からおろす直前にレモンを絞り、皿に盛って刻みパセリを散らし、フライパンにバターを足して味を調えたソースをかけて食べます。ちょっと焦げ目が付くくらいに焼きあげた表面の香ばしさと、中のジューシーな実がムニエルの特徴です。
ムニエルの美味しさは、魚にまぶした小麦粉によるところが大きいです。水分と熱で糊状になった小麦粉が旨味を閉じ込めるうえ、小麦粉は魚の生臭さを吸収し、バターで炒められては高尾橋さを醸し出すからです。
ここで、注意したいことは、小麦粉は魚をフライパンにのせる直前にまぶすことと、魚の水気をよく拭いてまぶすこと、小麦粉が先に水気を吸うとべとついて、フライパンにこびり付いてしまいます。
これではせっかくムニエルも台無しになってしまいます。
焼けた肉にも小麦粉や片栗粉をまぶして焼く
魚に限らず、小麦粉をまぶして焼けば肉も美味しいです。肉汁が閉じ込められて、ただ焼いただけのステーキとはまた違った風味が出ます。小麦粉の代わりに片栗粉を使ってもよいでしょう。
ただし、デンプン100%の片栗粉のほうがとろみが強いので、それを承知で料理に工夫を凝らしたいものです。
お吸い物に、魚や鶏肉あるいはそれらを挽いてつくねにして入れたいときに、片栗粉をまぶすのはグッドアイデア。旨味を閉じ込めるだけでなく、汁が濁らないようにしてくれます。
「から揚げ」と「竜田揚げ」の違い
「から揚げ」は、「唐揚げ」と書くことが多いですが、本来は衣をつけずに上げることを指したので、「空揚げ」が正しいです。対して「竜田揚げ」は、具材を醤油・みりんなどに漬け込んで、カタクルコをまぶして揚げたもの。
焦げ色が赤くなるので、紅葉の名所で知られる「竜田川」にちなんで付けられた名前です。現在では、から揚げ=小麦粉、竜田揚げ=片栗粉と区別されることが多いのですね。