Kitchen LAB&BAR/キッチンが俺の研究所であり、バルである

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを、そして嫁に褒められるメシを作りたい〜

ワイン好きな日本人が日本酒が飲めないなんてことは絶対にない

Sake

今こそ日本酒、海外で高い評価。

今、日本酒はその長い歴史上、もっともレベルの高い時代にあるといっても過言はありません。

造りの手のレベル、輸送や保存の技術が格段に向上し、何を飲んだとしてもよっぽどのことがない限り美味しい。美味しくない日本酒を飲んだって人はよっぽど運が悪いんじゃないだろうか。どんどん若い造り手が生まれ、それぞれにこだわりをもって日本酒を造られております。まさに日本酒業界は群雄割拠。

しかし、これだけ環境が整っていながら、日本酒が国内で文化として根付いているとはまだまだ言えないとも思えるのが残念。何を飲んでも美味しい(いや飲みやすい)という感想だけで、悲しいかな、その造り手のこだわりについてはさほど興味が示されない。

日本酒の評価は、国内よりもむしろ世界からの方が高いと言えますよね。

私がアメリカに出張したときには、オススメの日本酒はないかとよくアメリカの弁護士に聞かれますし、実際にお土産に日本の「SAKE」を持っていくとリアクションがすこぶるいいのです。

日本では、反対に「SAKE」や「ライスワイン」として世界でブームを起こしている、らしいということで、日本国内でも見直されてじわじわとブームが起きつつある、まさに逆輸入。外国で評価されたから注目されたなんてちょっと恥ずかしいけど、まさにそんな感じではないでしょうか。

ワインが好きならきっと日本酒も好きになれる

それでもワインと日本酒を比べてどっちが好きと聞かれると、ワインの方が好きと答える人の方が多数派かもしれませんね。でも、ワインが好きな日本人は絶対に日本酒も好きになれる、と僕は思います。

ワインと日本酒は共通点が多くあります。どちらも甘さとフルーティーさ、酸味に特徴がありますし、「辛口」とか「軽い」といった味を表現する言葉も同じ。特に、白ワインと日本酒は、味覚的にもかなり近い領域にあります。その証拠に欧米人は日本酒を“ライスワイン”と呼んでいますからね。

ワイン好きにとって日本酒はハードルが高いものではないはず。


しかも「ワインに似ているから」だけでなく、日本人の舌は和食に馴染んでいるから、本当は海外の人よりも日本酒を好きになる要素をたくさん含んでいます。


なぜか?日本酒には、日本文化として世界評価されている第6の味覚“旨味”(UMAMI)がギュギュっと含まれているからです。UMAMIが含まれている唯一の飲み物が日本酒なのです。


フランス料理人をはじめ世界中の料理人たちが「What's is “UMAMI”??」とその研究をしはじめています。本場のフランスでもフランス料理に合う日本酒をそろえるお店が増えてきたそうです。世界が、日本酒に料理を引き立てることに気づいた、わけです。


その点日本人は昔から気づいていたはずです。小さい頃からお味噌汁を飲み、しいたけや昆布でだしを取った煮物を食べてきた私たち日本人がその旨味の美味しさに気づかないわけがありません。日本酒を飲んだときにホッとする感覚は、身体の中に長年と染み込んだ"旨味"の感覚なのです。

日本酒の「こむずかしさ」の正体

でも、20代ー30代の人にとって日本酒が身近な飲みものかというとそうではないことも事実です。ビールとは違い、日本酒を飲むことが当たり前である地位は築けていませんよね。合コンなんかで日本酒を楽しもうとしたらブーイングものです。

フランス人だからといってワインに詳しいわけではありません。フランスでは、難しいことを考えず、ワインを楽しむ文化が根付いています。フランス人にとって、当たり前に存在するものがワインです。

それはなぜか。その原因に2つのことがあると思っています。

一つ目は根拠のない“やたらと多い通説”、2つ目が“日本酒なのに何を言っているのか分からない”。

日本酒は歴史が古く、もともと人の生活で最も身近な存在であったこともあって、日本酒の世界には様々な通説がはびこってしまっています。

そのせいでか変な誤解が生まれたり、気軽に楽しむはずの“地酒”が遠い存在になったり、「おじさんが飲むもの」的なイメージが持たれてしまったり、悲しいかな、そうなると若者が離れてしまうのは仕方のないことなのですかね。


また、日本酒の名前“生酛造り本醸造熟成生原酒”といったように、普段使わない漢字ばかりのうえにやたらと長くて、もはや呪文です。日本酒がよく分からず、とっつきづらく感じるのは、こうした意味不明な呪文・・・もとい、文言の問題が大きいのは間違いありません。


でも、実は文言さえ“翻訳”できれば、その日本酒かどんな味なのかも分かるし、造りのポイントも分かります。意外と日本酒って単純で簡単なんですよね。

日本酒の通説は嘘ばかり

ちまたに溢れている日本酒の4つの通説について書いていきます。

1.日本酒は悪酔いをしやすい

日本酒が苦手という人が、なぜ日本酒を嫌煙してしまうのか、その理由の筆頭は“日本酒は悪酔いをしやすい”という通説。

「ほかのお酒は大丈夫なのに、日本酒だけは悪酔いして気持ちが悪くなる・・・」
「日本酒は次の日に残るから・・・」

日本酒の名誉にかけて弁解させていただくと、これは日本酒が悪いわけではありませんよね。日本酒が美味しいから、ついつい量を飲みすぎてしまっている、だけです。ビールだって、ワインだって飲み過ぎたら気持ちが悪くなって、次の日にも残るのです。

むしろ、するすると飲めて美味しい。でも、実はひそかにアルコール度数は高い、だから、後から酔いが回ってきてしまうのです。


悪酔いしないためには、水(和らぎ水)をしっかり飲むことです。目安は、飲んだ日本酒と同量以上。これだけで、翌朝もすっきりと目覚めれます。

特に男性の中には、いまだに「お水を一緒に頼むなんてダサい」と思い込んでいる人も少なくないのですが、とんだ勘違いです。後でボロボロに酔っぱらってしまう方が、よっぽどダサくないですか?お水を飲んで自分をコントロールしている男性の方がよっぽどかっこいいと思ってしまうのですが笑

悪酔いしたトラウマのある方や、本当に日本酒初心者でそもそも飲めるか自信のない方は、まずはアルコール度数が低
く、甘くて飲みやすい“スパークリング日本酒”を試してみてはいかがでしょう。有名なところでは、“すずね”(一ノ蔵)や“澪”(宝酒造)、知名度は少し落ちてしまいますが、“たまゆら”(橘倉酒造)など手に入りやすいでしょう。

スパークリング日本酒は普段お酒を飲まない女性にも人気です。“日本酒はちょっと・・・”という人にも、スパークリング日本酒を飲んでもらえれば、きっと評価は変わると信じています。

2.日本酒の通は“辛口”を頼む

地球のどこでも、カッコを付けたい男はバカです。

日本酒をはじめワインやウイスキーで辛口のお酒こそ最高、いやその味を知ってこそ大人の男性と思っている人が多い。こんな人ほど本当に美味しいと思ってお酒を飲んでいますか?と疑いたくなりますね。


白ワインにしても日本酒にしても、なぜか男性の皆さんは口をそろえて“辛口が好き”と言いますが、甘口という人は少なくないですか。甘口と言うと、なんとなく可愛いし初心者っぽいから、女性や部下の前でカッコつけるために“辛口”と言いたいのでしょう。その気持ちは分からなくはないですけどね。


でも、ここで皆さんにお伝えしたいのは、“辛口の日本酒を下さい”とうオーダーでは本当に美味しい日本酒を選ぶことができないということです。世の辛口信仰は、美味しい日本酒に巡り合うための邪魔になっているのです。


そもそも日本酒が辛いとはどういう味かご存知ですか。
辛さとは、味ではありません。アルコールによるピリッとした痛み。味覚じゃなくて、痛覚なのです。そもそも、“辛口”という言葉自体が誤解を生みやすいのかもしれませんね。


それでは、なぜ“痛覚”である辛口がここまでもてはやされるのでしょうか?その理由の一つにさっきも言った“男はバカ”がありますが、実はそれだけではないのです。


日本酒の世界では、バブルの頃に端麗辛口ブームが起こりました。とにかく雑味も甘味も旨味もないスッキリとした味がよしとされ、本格的な日本酒=辛いの構図ができあがってしまったのです。これは1987年に発売された“アサヒスーパードライ”が巻き起こしたドライ戦争もこれの一環ですね。

このドライ戦争は、カクテルの世界でも起こっていました。例えば、マティーニ(ジンベルモット)もどんどんドライになっていき、「ドライ・マティーニ戦争」というこれまたアホな争いが勃発しました。それ結局、ジンだけ飲めばええやん、と言いたくなるような甘くないマティーニが求められたんですね。

けれど、ビールはドライ戦争のあと、サントリーがモルツを発表し、今のプレミアモルツ麦芽そのものの味が評価されるようになりました。コクや旨味を持つビールが「いいビール」とされるようになったのです。


しかし、一方の日本酒は、そのまま辛口信仰が残ってしまっているのです。ドライ戦争を始めたビールでは、和平を結んでいるのに、いまだに日本酒の世界では代理戦争が続いてしまっているのです。

では、ビールにおける麦芽って、日本酒にとってはなんでしょうか?

そう、お米ですよね。ビールの原料が麦芽であるように日本酒の原材料であるお米ならではその旨味と甘味が口の中に広がってこそ、本当に美味しい日本酒と言えます。日本酒の醍醐味はやっぱり米の旨味と甘味。

つまり、ツウは辛口ではなく、ツウは甘口が日本の正しい姿。それに、舌の声に正直になってもらうと、みんな甘口の日本酒が好きなんですよね。

3.日本酒ビギナーは取り合えず飲みやすいやつでOK

居酒屋で日本酒をオーダーするときの“飲みやすい”は地雷ワードだと思っています。

なぜかというと、世の中に誰でも“絶対に食べやすく美味しい食べ物”がないように、誰にとっても美味しく飲みやすい飲み物なんてものはないと思っています。

ワインの“美味しい”が人によって異なるのと同じで、何をもって“飲みやすいお酒”とする人によってまったく違います。女性の“飲みやすい”は、甘味が強いものを指すことが多いです。初心者であれば、アルコール度数低いものが“飲みやすい”。一方、辛口のスッキリとした日本酒が“飲みやすい”人だっていると思います。

“飲みやすい日本酒”と言えば、店員さんからどんな“飲みやすい”なのか確認されるはずですが、そうでないときに悲劇は起こるものです。先に“フルーティー”で飲みやすいやつと具体的な好みを伝えるようにしましょう。

4.日本酒の味は米で変わる

日本酒の味は、お米の違いによってそれほど左右されません。実際、テイスティングのプロでさえも、お米の品種を当てることはとてもハードルが高いそうです。

ブドウの味がワインの味に直結する、限りなく“農産物”に近いワインと比べれば、日本酒はどうしても工業製品になってしまいがちです。収穫した後の工程が多いため、お米以上に“造り”の違いの方が味への影響はずっと大きいのです。世界的に有名な日本酒である“獺祭”などが使っているお米“山田錦”だからといって、必ずしもおいしくなるわけではないのです。そもそも地元のお米を使わない日本酒もたくさんあります。

また、酵母(お米の糖分をアルコールに変える、日本酒の味を決める大切な菌)だってどこでも買えますから、土地による味の違いもなかなか出すことができません。地酒という言葉の定義も、残念ながら曖昧なものです。

でも、現在は“地元のですべての材料を調達しブランド化”という原点回帰の流れが、たしかに来ています。ラベルに「オール新潟」「オール能登」などの表記がったら、まさに地酒。正真正銘のその土地に根付いた味です。

ちなみに私は日本酒はもっとコメ事態を重視すべき派です。日本産のお米を使わなければ“日本酒”と名乗っていけないというルールがあるとはいえ、それだけではブランドとして世界に発信できないからです。

“シャンパーニュ地方のシャンパン”や“ボジョレー地区のヌーボー”と同じように、“新潟の純米”みたいな感じでお酒にこだわった地酒のファンを世界に増えていったら嬉しいですよね。

さらに余談ですが、フランスではワインの管轄は農林水産省。よりよいワインを作るための制度を整える役割を担っています。一方、日本では日本酒を管轄している組織は、国税庁。日本酒をよりよくしよう、世界のブランドになるように造り手を支援しようではなく、税金を集めやすい法律が作られていることは言うまでもありませんから、少し寂しいですね。

日本酒選びは“造り”が決め手

とりあえず、お米によって味がたいして変わらないことは分かりました。じゃあ何が日本酒選びの決め手になるのか、もっとも味を左右すのはその“造り”です。“純米”や”“吟醸”“生酒”“原酒”といったやつですね。どんな造りの日本酒が好きかさえ押さえておけば、自分の好みのお酒を選びやすくなるし、店員さんとのコミュニケーションを弾むでしょう。

ただし、日本酒はその造りの説明がややこしい。どうしても勉強している感が強いんです。漢字が多いし、厳密なのか、基準がテキトーなようで。

他の記事で日本酒の専門用語についてまとめていきたいと思いますが、まずは細かいことを気にせず試してみることですよね。“造り”について着目して、自分の日本酒の好みを探してみてくださいね。

私なら外れなしと思っているのが"八海山"、あれば嬉しい地元のお酒"豊祝"ですかね。
豊祝が飲めるお店が増えて欲しいなぁ、と思う今日この頃。

八海山 純米吟醸 (新潟) 1.8L 1本

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豊祝 純米酒 1800ml

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