Kitchen LAB&BAR/キッチンが俺の研究所であり、バルである

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを、そして嫁に褒められるメシを作りたい〜

煮魚を美味しく作るには「煮ない」「出汁を使わない」「冷たい煮汁」を使う

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煮魚は煮過ぎてはいけません

煮魚は煮過ぎてはいけません。このいい例が、寄せ鍋で鍋底に忘れ去られた魚です。野菜の下に隠れていて気付かず長い間加熱されてしまった魚は、もはや魚の味がしなくなってしまいます。煮過ぎた魚の身も硬くて美味しくなりません。魚は煮過ぎると身がしまってパサパサになって、まずくなってしまうやつです。


煮汁を煮詰めてからめながら煮ていく方法では、魚の鮮度が良くなかった時代の名残です。今は流通が発達していて、鮮度の良い魚が入るようになったので、同じ方法を取る必要がないわけです。

という僕もですね、以前は煮汁に魚を入れたまま、煮汁が半分近くになるまで煮詰める方法をとっていました。つまり、煮汁が煮詰まる時間だけ魚を加熱していたということですね。

しかし、今はここから進化して、この方法で作っていません。スーパーで手に入る程度の鮮度の魚ならば、さっと煮た方が美味しいと今は思っています。

考えてみると、こってりとした煮汁は、味が染みていないから必要なのです。どういうことかというと、塩鮭はそのまま焼いても美味しいですが、生鮭に塩を振ってすぐ焼いたものには、醤油をかけたくなりますよね。つまり、中まで塩が入っていないので、どこかもの足りないのです。


煮魚を作るときも、下処理として塩を振って身まで味が染みているので、言ってみれば塩鮭と同じ状態を作り出しているので、こってりとした煮汁をからめる必要はありません。例えるならならば、化粧水をしかっり染み込ませて肌自体を整えているから、お化粧をする必要はないということですかね。

加熱は煮始めてから10分以内。これ以上煮ても身がパサパサになるだけですから、魚に火が通れば出来上がりです。長く煮ると味が染みるように思うかもしれませんが、魚の身自体に味は染み込みません。だからこそ、煮る前に塩を振って味を付けておくことが大切です。

煮魚は煮汁が沸騰したところに入れなくてもいい

煮魚を作るときは、煮汁を煮立て、そこに魚を入れるのが料理の常識とされ、料理の本にもそう書いてあります。その理由は、たいていこう書かれています。

“煮汁が煮立ったところに入れるのは、魚の表面を瞬時に固めて旨味を逃がさないためです”と。

しかし、裏を返せば、タンパク質が固まると味も入らないということで、これを皆さん見逃してしまっています。冷たい煮汁に入れて低い温度から煮るほうが、魚本来の旨味が引き出されるのです。


また、沸騰したところに入れるのは、生臭くなるのを防ぐためともいいますが、僕の方法の場合、霜降りをしているので、その心配はありません。生臭みの原因は主に血液と言われていますから、霜降りをしてこれをきちんと除いておけばいいだけのことです。

それに霜降りをしたところに入れるよりも、むしろ霜降りした方が生臭みが取れます。

さらに煮崩れを防ぐ目的があるとも言われていますが、これも霜降りして表面を固めているので心配無用です。

魚の煮汁には出汁を使わず水を使う

「水に醤油と酒を入れて煮る」煮魚はこれだけで美味しくつくれます。魚から旨味が出るのだから、水分は出汁ではなく水で十分です。これが出汁では、旨味が過剰でくどくなるだけでなく、魚本来の味も感じにくくなります。

ところで、たっぷりの煮汁で煮ると調味料がもったいないと思いがちですが、煮汁には魚の旨味が溶け出していますから、うどんやそばの汁、雑炊にも活用することができます。魚を煮る前に霜降りしておけば、生臭さを解消することができます。

煮つけと言えば金目鯛ですよね!