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発酵を使って旨味と甘味をプラス

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麹の酵素分解‐お粥が甘くなくて、甘酒が甘い理由?

お粥を思い浮かべてみてください。米を茹でて加水した料理ですが、甘いですか?甘くないですよね。でも、甘酒って甘いですよね。甘酒もお粥と同じように、茹でた米に水を加えたものですけど。

お粥が甘くなくて、甘酒がどうして甘いのか?この違いは麹の存在です。

甘酒が甘くなるのは、麹によって米に含まれるデンプンがブドウ糖に酵素分解されるためです。お粥は、米粒の形こそ崩れていますが、酵素分解まで起こっていないため味わいには劇的というほど変化は現れません。


そう、酵素分解による味の引き立てこそが発酵、麹の魅力です。この麹の魅力を普段の料理にも応用したいんですけど、残念ながらいまいちうまく使いこなせない。酵素分解は見た目の変化がないから作っているときには何が起こっているのかさえ分かりません。



食材の分解には、発酵以外にもいくつか方法はあります。例えば、加熱、加水、加圧、加塩等がいずれの方法でも食材は変化しますよね。例えば、加熱。野菜を蒸せばしっとりしますし、魚を焼けば反り返りますよね。


この加熱による分解なら物理的で視覚的なので想像しやすいかもしれませんが、やはり麹を使った発酵による酵素分解はイメージがしづらいものですね。

発酵大国日本

一口に麹といっても、正体は菌などの微生物、わかりやすく言えばカビです。微生物による酵素分解こそ、発酵の面白さであり、その働きを知っておくことで料理に役立つことができるのです。

発酵とは簡単に言えば、熱を加えた穀物等に麹を加えて培養する事を言います。具体的に言えば、大豆に麹を加えることにより味噌や醤油に変わっていく工程が発酵です。

麹に使われるカビの数は200株以上とも言われています。そのほとんどが東アジア、つまり日本を含めて中国や朝鮮半島にしか存在していない点はとても重要ですよね。海外で醤油や味噌をなかなか見かけないのはそういう理由があります。

もっと言えば、米と水だけで麹(甘酒)を生み出しているのは日本だけなんですね。中国であればもち米と小麦粉に麹菌を加えて紹興酒を作りますし、韓国では加糖してマッコリを生み出し見ています。

一方、日本では米と米麹、そこへ水を加えるだけで、甘酒からどぶろく、ひいては米酢にまで作り上げる技術と環境を持っているのです。こんなことができるのはグローバルでみてもまだまだ日本だけです。

日本人にとっては慣れ親しんだ者たちであるために麹が生み出した発酵物の尊さを見過ごしてしまっている気がします。

島国であり、四季のある日本は必要に迫られて、そして長い年月をかけて発酵のノウハウを培ってきました。そのノウハウを生かしていないのは現代人である我々です。こんなもったいない話は無いじゃないですか。発酵大国に生まれ育ったからこそ謳歌できる発酵を利用できた料理は再評価されるべきなんです。

発酵技術を料理に利用したい

ここまで調べていると発酵生かした料理がしたくてたまらなくなる。。。

さて、料理における発酵の活用について考えてみます。登場するのは、決して目新しくもない味噌や醤油。味噌も醤油も麹を使った発酵調味料ですからね。

これらをいかに料理で生かすかが鍵となります。発酵調味料である味噌は食材に味をつけることもできますが、注目すべきは味噌と触れ合うことで、食材の酵素分解が進めることができます。

酵素分解で得られることがいくつかありますが、特筆するべき点は3つ。

『うまみを引き出すこと』『甘味の増幅』『分子の細分化』です。一つ一つ説明していきます

旨味を引き出す

魚や肉は、読者の皆さんもよく用いるメイン食材だと思います。これらの動物性食材に含まれるタンパク質。このタンパク質を味噌に含まれる微生物がアミノ酸へと分解してくれます。

アミノ酸、つまり旨味ですね。当然のことながら、そのまま食べるよりも、味噌で漬けることで食材は旨味を増し、料理として仕上がった時に旨味を享受することができるのです。。

甘味の増幅

そして動物性食材には必ず脂肪がありますよね。この脂肪を脂肪酸に分解してくれるのも微生物の働きです。脂肪酸は甘みを感じさせます。これが2つ目の甘みが増幅ですね。

分子の細分化

そして微生物による酵素分解が進むことで、食材の分子は細かく細くなり、味はわ入りやすく、火の日野通りも良くなり、食感もしっとりとやわらかくになります。

これが見つめの分子の細分化です。これらの後の横領に生かすことが発行量に発行を料理に生かすと言うことなのです。

料理を嗜む者って料理に旨味を加えていくのか、またはクセになる甘味甘みを忍ばせるか、食材を硬くしないように悩んでいく・・・と思いますが、それがどうだろう。

発酵技術を活用すれば、旨味を加えるだけではなく引き出すことができ、甘味は忍ばせるだけではなく、食材の甘味を引き立てることができますね。そして、調理中に食材が硬くなるどころか、逆に柔らかくできる。ということで、発酵って特に奥が深い、ますます興味がわきますよね。

どんどんご自分自身の料理にこの発酵技術ロジックを取り入れていきたいいですよね。工事の酵素分解まで計算してレシピを考えていったらめちゃくちゃ面白そう。

発酵で引き出した旨味をさらに活かす塩

発酵で引き出した旨味を生かすも殺すも、塩次第だとも言えます。そもそも人間の舌で旨味単体のおいしさを知覚することができないそうです。

例えば、味の素をぺろっと舐めてみても何が旨いのかはっきりと分からないですよね。昆布からひいた出汁でさえ飲んでも何が旨味なのか分からないですよね。。。そこに、ほんの少し塩を使用し加えたますすると途端に、一番出汁から圧倒的な旨味を感じ取ることができるようになるのです。


その逆も然りで、塩だけ舐めても辛いだけ。塩の角をとってまろやかにしてくれる唯一の味が旨味です。旨味を生かしたければ、適切な量の塩を加えること。これが美味しく味と塩味を楽しむことにもつながるのです。

また、旨味にはうまみにはグルタミン酸とイノシン酸の2種類が基本です。この2つの旨味をかけ合わせることで、旨味はさらに増幅します。


味噌や醤油もグルタミン酸を有していますが、実はトマトにもグルタミン酸が多く含まれています。(このグルタミン酸の旨味うまさをしっかりと理解しているのは日本人とイタリア人なんです。日本人がイタリアンが好きなのは彼らが食文化が日本人と親和性が高いのは、こうした背景があるからです。)

また、関西と関東の味付端の漬けの違いもこの二大物質で説明がつきます。

昆布出汁は軟水でなければひきづらいのですが、その昔、関東は硬水だったんです。だから、関東では昆布出汁、つまりグルタミン酸を上手に引き出す事ができず、イノシン酸のかつお出汁にグルタミン酸を含む醤油を加えていたんです。

一方、関西の水は軟水だったので、かつお出汁と昆布出汁をとることができ、旨味が相乗効果を出汁だけで得ることができていたわけです。

弱酸性が旨いと感じる

味噌も醤油もpH8は弱酸性です。弱酸性とは、人々にとって最も食が進むpHなのです。

例えばバターは強アルカリ性です。フランス料理を想い描いてもらえばわかりますが、アルカリ性のバターを溶かした料理を食べ飽きてしまいます。だから、酸性のワインを合わせて、弱酸性に近づけるのがフランス人の知恵ですね。

日本人は醤油や味噌の調味料を使って、1皿ごとに弱酸性にする知恵があったので、これまた弱酸性の日本酒がよく合うんです。知り合いの料理人は、味噌や醤油で旨味を引き出した料理はpHも下がっていますから、ソースや付け合わせpH値に気を払うことで、1皿としてコース全体として食べ飽きない和食コースに仕上げていると、言ってました。

米の話からpHを意識したコース料理全体にまで話が広がったところで、酵素分解から、瞰した料理論への展開したところで、昨今の分子ガストロノミーの存在が脳裏をよぎりますね。

既にダウントレンドかもしれませんが、分子ガストロノミーが料理界のトレンドとなりました。でも、発酵技術から分かるように、日本人は古来から生活の知恵として分子レベルで食品加工、調理をしていたと言っても過言ではありせん。


まぁそれが体に良いかどうかは考えていなかったかもしれませんけどね。きっと、発酵技術を磨かなければ、生きていけなかったんだと思います。

そして時代は経って、今、僕たちはお金さえ払えばあらゆる食材を手に入れることができます。はっきりいって飽食の時代。こんな時代に日本人は大切なものを忘れてしまったのかもしれませんね。

美味しい料理を食べたい、作りたいのであれば、もう一度日本ならではの発酵を活かした料理を見直していいと思います。もちろん食材は変わりました。昔は日本で食べられなかった牛肉や豚肉を食べるようになったので、発酵を活用した調理を柔軟に対応するのが良いでしょう。

例えば、ワインを使ったり、ハーブを使ってみたいですね。いわばハイブリット発酵活用が今の時代の新しい発酵の根楽しみ方になるのかな。麹は生き物だから、どうなるかも予測はなかなかつかないもんですね。だからこその楽しみ。まさに終わりなき発酵の料理の旅、存分に味わいたいですね。