Kitchen LAB&BAR/キッチンが俺の研究所であり、バルである

~料理に少しのサイエンスを、キッチンにクリエイティブを、そして嫁に褒められるメシを作りたい〜

美味しい肉のためにこだわるべきは胡椒と塩なのは間違いない。

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めっちゃええ肉が手に入ったら塩胡椒もええやつを使いたい

例えば、A5クラスのめっちゃええ肉が手に入ったとして、何を準備するやろうか?切れ味抜群の鋭いゾーリンゲンの包丁?鋳鉄のステーキパンか?キッチンの中でたまにこんな妄想をしてしまいがちです。

妄想はふくらむばかりですが、その中では塩と胡椒こそきちんと準備することこそ、めっちゃええ肉に対する礼儀かなと思いました。

時代を動かした胡椒、人が本能で求めたスパイス

料理や料理に関する歴史を勉強してみると、塩と胡椒ってめちゃくちゃ奥が深い、好奇心がそそられる調味料ですね。コショウが発見されなかったら、今の社会情勢は少し違った形になっていたかもしれない、とまで思えます。

大袈裟かにも思えるかもしれませんが、世界の勢力図を塗り替えた16世紀の大航海時代(コロンブスがアメリカ大陸を発見した時代)は、まさに胡椒を求めたことに端を発しています。インドをはじめとした限られた地域でしか栽培できなかったスパイスに渇望して、ヨーロッパの列強各国が胡椒の産地を植民地すべく海を越えてアジアに進出していきました。

大航海時代はまさしくスパイス戦争だったと言えます。文化・産業が成熟し、モノに溢れた当時のヨーロッパかっくにとって、危険を冒してでも欲しかったほど胡椒は魅力的なスパイスだったのです。

まさに人間のDNAに刻まれた欲求を満たすスパイスといってもいいかもしれません。唐辛子とも異なる辛味、特有の香りがヨーロッパ諸国の料理に不足していたエッセンスだったのでしょう。また、胡椒には胃弱改善や腹痛鎮静、腹部のガス抜きといった期待効果があります。これらの作用も当時の人は体感していたと思います。

太古から作られた塩だが、選択肢が増えてきたのはまだまだ最近の話

一方の塩。塩は海が現在の様相になった太古の昔から存在し、世界各地で採取する技法が確立したことで広まりました。生物学的に海から陸に上がった動物は海水と同程度の塩分が必要で、その摂取方法は草食動物の捕獲でしたが、人類は塩を精製するという選択をしました。

生きるために必要な塩、ゆえに日本でも数年前まで国の専売品であり、低価格での安定供給がなされていました。塩の専売制が廃止されたのは、既に自分が生まれていた1997年のことです。実はそれまでも日本各地で“ご当地塩”は作られていましたが、流通することはありませんでした。当然、世界各国で造られている塩も同じです。

それが一転して、ここ数年で一挙に国内外の塩が販売できるようになったのです。っですから、まだまだ塩といえば卓上塩、という方が多いのも無理はありません。

塩の選択肢が広がった今塩を改めて勉強することも面白いことだと思っています。しょっぱさというのは塩が持つ多面性の一部でしかありません。

味を比べていただければすぐに気づくかもしれませんが、甘味を感じる塩もあれば、苦味が立つ塩をもあります。また、粒の大きさ、形状も千差万別で、口溶けがまったく異なります。こうした要素の掛け合わせを知ってしまったら、料理に合わせる塩も1種類で済むはずがありません。

事実、塩屋には、300種類以上の塩を取りそろえられていて、二つとして同じ塩はないということです。なんばパークスの塩屋にはよくお世話になっております。
www.ma-suya.net


日本はスパイス後進国です。四方を海に囲まれて新鮮な食材に恵まれていたからこそ、素材を活かした調理方法が発達してきたことも理由の一つだと思います。ですが、世界の料理が楽しめるようになった現代になって、この味はどんなスパイスから作られているんやろうと、いった具合にスパイスへの興味が強まり流通が活性化してきました。

でも、まだまだ。コショウは早い時期から流通していましたが、胡椒を選ぶという段階にはなっていません。テーブル胡椒ですべてを賄う方が圧倒的なはずです。専門店やオンラインストアに限られてはしまいますが、胡椒に選択肢があります。辛味や香りの強弱、また食材に振りかけた時の色味も胡椒選びのポイントとしてみると良いと思います。

肉の産地、部位を選ぶが如く、塩や胡椒を選ぶことができるような土壌は整ったのでした。料理によって塩と胡椒を使い分ける、その仕上がりの違いを楽しむ・・・これが新しい粋な調理の遊び方なのかもしれませんね。

注目の胡椒

カンボジア産の生黒胡椒

乾燥させず生という驚き。かつては「世界一の風味」と称賛されながらもカンボジアの内戦により姿を消してしまった胡椒が復活。生産再開後に、その風味を最大限に活かすべく生まれたのがこの生胡椒。輸送のために塩漬けされていますが、フレッシュな香りと食感が特徴的。しっかりとかつプツっと始めるような食感、新鮮な辛味と香りが料理に華を添えてくれます。

燻製 燻し胡椒 煙神

辛味+香ばしさ+薫香り。ブラックペッパーを桜チップで燻製させたもの。スモーキーなフレーバーが得られるのはもちろん、素材の旨味を引き立ててくれます。肉料理の隠しにも良いが、スクランブルエッグの隠し味にすると最高。ハイボールにひと振りしても美味しい。

注目の塩

塩夢寿美

原料は野甫島の海水100%、一般的な塩が釜で煮詰められているのに対し、野甫の塩は加熱することなく完全に自然の力だけで作られます。

風力で濃縮させた海水を結晶ハウスに移し、太陽の力で水分を蒸発させます。この間、人の手でもむことで結晶化を助けます。自然の力以外をいっさい加えないことで、海のミネラルがそのまま残った塩が出来上がるのです。まろやかでコクのある旨味は一級品!

www.asahi.com

粟国の塩

粟国の塩の製法は、3人の学者が20年もの年月をかけて考案したものです。まず、1万5000本の竹がつるされたタワーの上から海水を通し、塩分を濃縮したかん水を作ります。このかん水を平釜で30時間をかけてゆっくりと煮詰め、さらに6~18日ほどかけて自然乾燥させ、やっと出来上がります。

独特の製法で、ミネラルが豊富。塩味だけでなく、しっとりとして甘味もあります。

粟国の塩天日塩 250g

粟国の塩天日塩 250g

セル・デ・ヴァン

塩のジャンルとして確立しつつあるフレーバー系。その究極とも言えるのが、セル・デ・ヴァンのシリーズ。フランス産の塩に3種のワイの香りを漂わせたもの。使い方は魚介類にはソーヴィニヨン、肉にはシラー、チーズにはメルローといった具合。

ワインボトルの形をした容器はキッチンにも映えてオシャレですね。

blog.kitchen-labo-bar.com
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